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法務・契約

民法466条と債権譲渡
2020年改正で変わったこと

読了目安 9分監修:株式会社PROTOCOL

債権譲渡の根拠条文は民法466条です。2020年4月1日施行の改正で、この条文は債権による資金調達を後押しする方向に書き換えられました。条文の構造に沿って整理します。

466条の構造

民法466条は、大きく次のように組み立てられています。

  1. 1項:債権は譲り渡すことができる債権譲渡は原則自由。これは改正前から変わっていません。
  2. 2項:譲渡制限の意思表示があっても、譲渡の効力は妨げられない改正で新しくなった中心部分です。特約があっても譲渡は有効になりました。
  3. 3項:悪意・重過失の譲受人には、債務者は履行を拒める2項の例外。債務者(売掛先)を保護するための規定です。

加えて466条の2以下に、債務者が供託できる制度や、預貯金債権についての特則が置かれています。

出典:民法466条/民法(e-Gov法令検索)

改正の狙いは中小企業の資金調達

この改正の背景には、売掛債権を資金調達に活用しやすくするという政策目的があります。

改正前は、取引基本契約に譲渡禁止特約があると、その債権は事実上資金化できませんでした。日本の商慣行では特約が広く使われていたため、多くの中小企業が自社の売掛債権を使えない状態にありました。

改正前の問題改正後
特約付き債権は譲渡が無効譲渡は有効
大企業側の一方的な特約で調達手段が失われる中小企業が債権を活用できる
金融機関も特約付き債権を担保に取りにくい債権担保融資が組みやすくなる

この趣旨を知っておくと、「特約があるから使えない」という説明が改正前の常識であることがわかります。

あわせて読みたい債権譲渡禁止特約があってもファクタリングできる?民法改正後の実務

供託という逃げ道

466条の2は、譲渡制限の意思表示がある債権が譲渡された場合に、債務者が供託できると定めています。

売掛先の立場に立つと、譲渡人と譲受人のどちらに払えばよいか判断がつかない場面があります。二重に請求されるリスクを避けるため、法務局に供託して支払いを済ませられる仕組みです。

実務上の意味供託されると、資金は法務局に預けられ、その後の手続きを経て受け取ることになります。期日どおりの入金にはなりません。ファクタリング会社が特約付き債権を嫌う理由の一つがこれです。

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467条:誰に対抗できるか

466条とセットで押さえておきたいのが民法467条です。譲渡が有効であることと、それを他人に主張できることは別の問題で、467条が後者を定めています。

誰に対して主張するか必要なもの
債務者(売掛先)譲渡人からの通知、または債務者の承諾
第三者(他の譲受人・差押債権者など)確定日付のある証書による通知または承諾

3社間ファクタリングで内容証明郵便が使われるのは、確定日付を備えて第三者対抗要件を満たすためです。2社間では通知をしないため、代わりに債権譲渡登記が使われることがあります。

あわせて読みたい確定日付・内容証明とは|債権譲渡通知の実務

預貯金債権は別扱い

466条の5は、預貯金債権については譲渡制限の意思表示の効力が維持されると定めています。銀行預金は特約が付いていれば譲渡できません。

売掛債権とは扱いが逆になるため、混同しないよう注意してください。ファクタリングで扱うのは売掛債権なので、こちらの特則は適用されません。

まとめ|原則は自由、例外が3項

民法466条の骨格は単純です。1項で債権譲渡は自由、2項で特約があっても譲渡は有効、3項で悪意・重過失の譲受人には債務者が支払いを拒める。

2020年の改正は、中小企業が売掛債権を資金調達に使えるようにするためのものでした。特約を理由に諦める必要はありません。

ただし467条の対抗要件と、466条の2の供託制度により、実務上の摩擦は残ります。条文を知ったうえで、どの形で進めるかを選ぶことになります。

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よくある質問

民法466条は何を定めていますか?

債権譲渡の原則的な自由と、譲渡制限の意思表示があった場合の取り扱いを定めています。

2020年の改正で何が変わりましたか?

譲渡制限特約があっても債権譲渡が有効になりました。改正前は原則無効でした。

改正の目的は何ですか?

中小企業が売掛債権を資金調達に活用できるようにすることです。

3項の悪意・重過失とは?

譲受人が特約の存在を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合を指します。

供託されるとどうなりますか?

資金が法務局に預けられ、期日どおりの入金にはなりません。受け取りには手続きが必要です。

民法467条との違いは?

466条は譲渡できるかどうか、467条は譲渡を誰に主張できるか(対抗要件)を定めています。

確定日付はなぜ必要ですか?

第三者に対して譲渡を主張するために、確定日付のある証書による通知または承諾が必要とされています。

預貯金債権も同じですか?

違います。預貯金債権には特則があり、譲渡制限の効力が維持されます。

改正はいつから適用されますか?

2020年4月1日施行です。施行日前に生じた債権には改正前の規定が適用される場合があります。

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