効果:立替がなくなる
500万円の案件で、材料費と外注費が300万円かかるとします。
| 納品後一括 | 着手金30% | |
|---|---|---|
| 着手時の入金 | 0円 | 150万円 |
| 立て替える額 | 300万円 | 150万円 |
| 資金化の必要性 | 高い | 半分に減る |
この差が案件ごとに積み上がります。案件数が多いほど、効果は大きくなります。
業種ごとの通りやすさ
| 業種 | 前受の慣行 |
|---|---|
| 制作・デザイン・開発 | 着手金は一般的。通りやすい |
| 建設・工事 | 出来高払い・中間金の慣行がある |
| イベント・展示会 | 開催前の支出が多く、前受が理解されやすい |
| 物販・卸 | 難しい。掛取引が前提の業界が多い |
| 人材派遣・常駐 | 難しい。稼働実績に基づく請求が基本 |
上3つは「先に費用がかかる」ことが相手にも分かる業種です。理由を説明しやすいぶん、通りやすくなります。
切り出し方
- 新規案件から始める既存の取引条件を変えるのは難しくても、新規案件なら最初から条件に入れられます。
- 見積書の段階で書く交渉ではなく、標準の条件として提示します。「お支払い条件:着手時30%、納品後70%」と見積書に明記します。
- 理由を一行添える「材料の先行手配が必要なため」など。相手が社内で説明できる材料になります。
- 断られたら中間金で着手金が無理でも、工程の途中で一部を請求する形なら通ることがあります。
見積書に書くのが最も効く後から交渉として持ち出すと「資金繰りが厳しいのか」と受け取られます。最初から標準条件として提示すれば、単なる取引条件の一つです。
会計処理を間違えない
前受金はまだ売上ではありません。受け取った時点では負債です。
| 時点 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 着手金の受領時 | 普通預金 1,500,000 | 前受金 1,500,000 |
| 納品・検収時 | 前受金 1,500,000 売掛金 3,500,000 | 売上 5,000,000 |
受領時に売上計上してしまうと、売上の期ずれになります。また、前受金は負債なので、決算書上は借入と同じ側に立ちます。金額が大きい場合、貸借対照表の見え方にも関わります。
なお、前受金を受け取った案件の売掛金は、残額分だけになります。ファクタリングに出す場合の金額も変わるため、あわせて確認してください。
あわせて読みたいファクタリングの仕訳を取引別に解説|契約時・入金時・手数料の3仕訳
条件が定着するまでの期間を、どう持たせるか
新規案件から変えても、効果が出るまでには時間がかかります。その間のコストを下げられます。
よくある質問
着手金をもらうと何が変わりますか?
材料費や外注費の立替額が減り、資金化の必要性そのものが下がります。
相場はどれくらいですか?
業種によりますが、30%前後を設定する例が多くあります。
どう切り出しますか?
見積書に標準の支払条件として明記するのが最も効きます。交渉として持ち出さないことです。
既存の取引先にも言えますか?
難しい場合は新規案件から始めてください。条件が定着してから広げます。
断られたらどうしますか?
工程の途中で一部を請求する中間金の形なら通ることがあります。
通りやすい業種は?
制作・開発、建設、イベントなど、先に費用がかかることが相手にも分かる業種です。
前受金は売上ですか?
違います。受領時は前受金という負債で、納品・検収時に売上へ振り替えます。
決算書への影響は?
前受金は負債として計上されます。金額が大きいと貸借対照表の見え方に関わります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の契約・料率を保証するものではありません。手数料等の目安は一般に公表されている水準を参考にしており、実際の条件は売掛先の信用・債権額・支払いサイト等により変動します。本文中のモデルケース・試算は仕組みを説明するための例であり、特定の企業・取引を示すものではありません。



