結論:手数料も譲渡代金も非課税
ファクタリングは金銭債権の譲渡にあたります。金銭債権の譲渡は、消費税法上の非課税取引です。
そのため、次のどちらにも消費税はかかりません。
- 売掛債権をファクタリング会社に譲渡したこと自体(=譲渡代金)
- そこから差し引かれる手数料
手数料は、形式的には「手数料」という名前がついていますが、実態は額面より安く債権を売ったことによる差額です。サービスの対価として別途支払っているわけではないため、単独で課税対象になることはありません。
根拠消費税法第6条および同法別表に定める非課税取引のうち、有価証券等の譲渡に金銭債権の譲渡が含まれます。売掛債権は金銭債権にあたります。
請求書に消費税が乗っていても関係ない
混同しやすいのが、元の売掛金には消費税が含まれているという点です。
たとえば税抜100万円・消費税10万円で請求し、売掛金110万円が立っているとします。この110万円を丸ごとファクタリングに出した場合、譲渡するのは「110万円の金銭債権」であって、そこに新たな消費税は発生しません。
| 項目 | 金額 | 消費税の扱い |
|---|---|---|
| 売上(本体) | 1,000,000円 | 課税売上 |
| 売上に係る消費税 | 100,000円 | 預かった消費税 |
| 売掛金(債権額) | 1,100,000円 | — |
| ファクタリング手数料10% | 110,000円 | 非課税 |
| 手取り | 990,000円 | — |
ここで注意したいのが、預かった消費税10万円は、後で納付しなければならないお金だという点です。手取り99万円のうち10万円は自社の利益ではありません。手数料の負担感を判断するときは、この点を外して考えると実態を見誤ります。
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会計ソフトで最も多い誤り
実務でいちばん起きやすいのが、科目の既定税区分が「課税仕入れ10%」のままになっているというものです。
支払手数料などの科目を使って入力すると、多くの会計ソフトでは自動的に課税仕入れとして処理されます。そのまま決算を迎えると、本来は控除できない金額を仕入税額控除に含めてしまい、消費税の納付額が過少になります。
確認する場所会計ソフトの仕訳画面で、ファクタリング手数料の行の税区分が「非課税仕入」または「対象外」になっているか。「課税仕入10%」になっていたら修正が必要です。
あわせて読みたいファクタリング手数料の勘定科目は?売上債権売却損の使い方
売上債権売却損という専用科目を立てて、その科目の既定税区分を非課税に設定しておけば、入力のたびに気をつける必要がなくなります。科目を分けることを勧める理由の一つがこれです。
課税売上割合への影響
もう一段踏み込んだ論点として、課税売上割合があります。原則課税で消費税を計算している会社に関係する話です。
課税売上割合は「課税売上 ÷ 課税売上+非課税売上」で計算します。金銭債権の譲渡は非課税売上なので、理屈の上では分母を押し上げ、割合を下げる方向に働きます。
ただし、金銭債権の譲渡については譲渡対価の全額ではなく、その一部だけを分母に算入する取り扱いが定められています。そのため、実際の影響は見た目ほど大きくならないのが通常です。
確認が必要な部分算入割合や適用範囲は、債権の種類や取引の形態によって取り扱いが分かれます。ファクタリングを継続的に、かつ相当な金額で利用している場合は、顧問税理士に自社の課税売上割合への影響を確認してください。簡易課税を選択している場合は、この論点自体が発生しません。
まとめ|非課税、ただし入力設定に注意
ファクタリング手数料は消費税の非課税取引です。これは動きません。
実務で問題になるのは、税法の解釈ではなく会計ソフトの税区分設定のほうです。課税仕入れのまま処理すると消費税の納付額がずれ、修正申告が必要になることもあります。
売上債権売却損という専用科目を立て、税区分を非課税に固定する。これだけで再発は防げます。
税区分を直したら、手数料率も見直しましょう
処理を正しくしても、手数料が高ければ資金は出ていき続けます。今の条件が妥当か、無料で確認できます。
よくある質問
ファクタリング手数料に消費税はかかりますか?
かかりません。金銭債権の譲渡にあたるため非課税取引です。
譲渡代金にも消費税はかかりませんか?
かかりません。債権の譲渡そのものが非課税取引に該当します。
売掛金に含まれる消費税はどうなりますか?
元の売上に係る消費税は、売掛金の一部としてそのまま譲渡されます。納税義務は自社に残ります。
仕入税額控除の対象になりますか?
なりません。非課税仕入れのため控除できません。
課税仕入れで処理してしまいました
消費税の納付額が過少になっている可能性があります。税理士に相談し、必要に応じて修正してください。
会計ソフトの税区分は何を選びますか?
非課税仕入、または対象外を選びます。課税仕入10%のままにしないでください。
課税売上割合に影響しますか?
原則課税の場合は影響し得ますが、金銭債権の譲渡は算入範囲が限定されています。簡易課税なら関係しません。
インボイスの登録番号は必要ですか?
非課税取引のため、仕入税額控除を前提とした登録番号の確認は不要です。
登記費用や司法書士報酬も非課税ですか?
登録免許税と印紙代は対象外、司法書士報酬は課税です。手数料とは区分して処理します。
自社の処理を確認してほしい
契約内容と手数料水準もあわせて拝見します。お気軽にご相談ください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の会計処理・税務判断を保証するものではありません。勘定科目の選択や税務上の取り扱いは、契約の実態・事業内容・会計方針によって異なります。実際の処理にあたっては、顧問税理士または所轄税務署にご確認ください。



