営業CFに、2つの形で現れる
キャッシュフロー計算書を間接法で作成している場合、ファクタリングは営業CFの中に2つの形で現れます。
- 売上債権の減少売掛金が減った分が、営業CFのプラス項目として計上されます。金額が大きいため、ここが最も目立ちます。
- 売上債権売却損税引前当期純利益の中にすでに含まれている費用です。現金の支出を伴う損失なので、間接法で足し戻す調整はしません。
財務活動によるキャッシュフローには何も出ません。借入ではないため、借入金の増加として計上されないからです。ここが融資との決定的な違いです。
融資と並べると違いがはっきりする
同じ300万円を調達したとき、キャッシュフロー計算書の見え方がどう変わるかを比べます。
| ファクタリング(手数料10%) | 融資300万円 | |
|---|---|---|
| 営業CF | +270万円(債権減少) | 変化なし |
| 財務CF | 変化なし | +300万円 |
| 現金の増加 | +270万円 | +300万円 |
| 翌期以降の返済 | なし | 財務CFのマイナス |
ファクタリングは営業CFが厚く見えます。本業でキャッシュを生み出しているように映るため、キャッシュフロー計算書だけを見ると評価が高くなりやすい構造です。
その営業CFをどう読むべきか
ここが本題です。営業CFが改善して見えても、それは将来入るはずだったお金を前倒しで受け取っただけです。新たに稼いだキャッシュではありません。
翌期に起きること前倒しで資金化した分、翌期に回収される売掛金は減ります。同じ規模のファクタリングを続けなければ、翌期の営業CFは反動でマイナス方向に振れます。継続すると、やめられなくなる構造がここにあります。
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読むときは、次の2点をセットで見てください。
- 売上債権の減少額が、売上高の伸びと釣り合っているか(釣り合っていなければ前倒しの可能性)
- 営業CFのプラスが、本業の利益によるものか、債権の圧縮によるものか
営業CFが黒字でも、その中身が債権の前倒し資金化で占められているなら、キャッシュを生む力が回復したわけではありません。
中小企業はCF計算書を作らないことが多い
キャッシュフロー計算書の作成が義務づけられているのは、金融商品取引法の適用を受ける上場企業などです。中小企業には作成義務がなく、実際に作っていない会社がほとんどです。
ただし、作らなくても考え方は使えます。手元で次の簡易版を出すだけでも、実態が見えます。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 当期純利益 | 損益計算書から |
| + 減価償却費 | 損益計算書から |
| ± 売掛金の増減 | 前期末と当期末の差 |
| ± 買掛金の増減 | 前期末と当期末の差 |
| = ざっくり営業CF | — |
この簡易版で、売掛金の減少が大きく寄与しているかどうかを確認します。寄与が大きいなら、それは本業のキャッシュ創出力ではなく資産の取り崩しです。
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まとめ|営業CFは良く見える。中身を見る
ファクタリングはキャッシュフロー計算書の営業CFに、売上債権の減少として現れます。財務CFには出ないため、借入とは見え方が大きく異なります。
結果として営業CFは改善して見えますが、その正体は将来のキャッシュの前倒しです。翌期には反動が来ます。
営業CFのプラスが本業によるものか、債権の圧縮によるものか。この見分けがついていれば、数字に振り回されずに済みます。
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よくある質問
ファクタリングはCF計算書のどこに載りますか?
営業活動によるキャッシュフローに、売上債権の減少として現れます。
財務CFには載りませんか?
載りません。借入ではないため借入金の増加として計上されません。
売上債権売却損は足し戻しますか?
足し戻しません。現金の支出を伴う費用のため、間接法での非資金項目の調整には該当しません。
営業CFが改善するのはなぜですか?
売掛金という資産が現金に変わるためです。本業で新たに稼いだキャッシュではありません。
翌期はどうなりますか?
前倒しした分、回収される売掛金が減るため、同規模の利用を続けなければ営業CFは反動で悪化します。
融資とどちらがCF上は有利に見えますか?
ファクタリングは営業CFが増え、融資は財務CFが増えます。見え方としては営業CFのほうが評価されやすい構造です。
中小企業もCF計算書を作るべきですか?
作成義務はありませんが、簡易版で営業CFの中身を確認するだけでも実態が見えます。
簡易版はどう作りますか?
当期純利益に減価償却費を加え、売掛金と買掛金の増減を調整するだけでも概算が出ます。
営業CFが黒字なら安心ですか?
中身によります。債権の圧縮で黒字になっている場合、キャッシュを生む力が回復したわけではありません。
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